のどの病気Throat illness
アデノイド肥大
- アデノイドは咽頭扁桃といわれ、鼻の奥(上咽頭)に存在するリンパ組織です。
- 2~3歳頃から発育し、4~6歳頃が最も大きく、その後は自然に縮小します。
- アデノイドの増殖により、鼻閉、口呼吸、いびき、睡眠呼吸障害をおこし、鼻副鼻腔炎、滲出性中耳炎が長引く原因となっていることがあります。
- アデノイド顔貌といい、いつも口をあけ、しまりのない顔つきになることがあります。
- X線または内視鏡にて、アデノイドの状態を観察します。
- アデノイドの肥大が高度であれば、アデノイド切除術を行います。
症状
検査
治療
アデノイド肥大
口蓋扁桃肥大
- のどの扁桃腺は、正式には口蓋扁桃といいます。
- アデノイドなどと同様のリンパ組織で、免疫機能の亢進に伴う生理的肥大があります。
- 3~4歳頃から肥大し始め、4~5歳で急激に大きくなり、小学校2・3年生以降は縮小傾向となります。
- 肥大の程度には個人差があります。
症状
-
睡眠時の症状
睡眠時無呼吸、いびき、努力性呼吸 -
ことば
声がこもる、言葉がはっきりしない -
食事
食物がつかえる、食事に時間がかかる、嚥下障害 -
その他
よだれが多い(特に乳幼児)、のどの異物感、口臭
治療
- 睡眠時無呼吸の原因となっている場合
- 摂食・嚥下障害のある場合
- 扁桃肥大の症状が複数・常時ある場合
は口蓋扁桃摘出術の適応となります。
急性扁桃炎
- 口蓋扁桃は、解剖的特徴から、絶えず外来抗原から暴露を受けやすい位置にあるため、急性炎症を起こしやすい傾向があります。
- 扁桃は、発赤腫脹し、膿栓が付着します。
- 首のリンパ節が腫れることもあります。
- 溶連菌などの細菌性扁桃炎、EBウイルス(伝染性単核球症)、ヘルペスウイルスなどによるウイルス性扁桃炎があります。
- 細菌性扁桃炎の場合は、抗生物質での治療
- 症状がひどく、摂食困難、脱水などがある場合は入院治療となります。
治療
慢性扁桃炎
- 扁桃が、慢性的に炎症を起こしている状態です。
- 何度も急性扁桃炎を反復する場合は、反復性扁桃炎と呼ばれます。
症状
- のどの痛み、不快感、異物感、嚥下時痛など
- 微熱、だるい、疲れやすい
治療
- A群溶連菌感染症で、除菌がなされていない、あるいは再感染で残存が疑われる場合は除菌を行います。
- 扁桃洗浄
- 口蓋扁桃摘出術
扁桃周囲膿瘍
扁桃炎がひどい場合は扁桃腺の周囲に膿がたまる場合があります。それにより、口が開けにくくなったり、くびが腫れたり、高熱が出るなどの症状が発生します。
切開排膿など強力な治療が必要となります。
症状
高熱、著しい咽頭痛、嚥下痛、開口障害
治療
多くは入院での治療となります。
- 抗生物質の点滴
- 膿瘍の切開排膿
口蓋扁桃摘出術の適応は?
扁桃腺の手術は次のような場合に行います。
-
反復性扁桃炎
・年に4~5回以上扁桃炎を繰り返す状態が2年以上続いている場合 -
口蓋扁桃肥大
・扁桃腺が大きいために、いびき(重症)、睡眠時無呼吸、摂食・嚥下障害をきたす場合 - 扁桃周囲膿瘍(反復例)
-
病巣感染
・IgA腎症、掌蹠膿疱症など
急性喉頭蓋炎
- 急性喉頭蓋炎は急速に悪化して窒息する可能性がある疾患で、耳鼻科疾患の中でも緊急かつ慎重な対応が要求される病気の一つです。
- 声帯の入り口の喉頭蓋に炎症を起こし、のどの違和感やのみこみにくい感じ、息苦しさといった症状が出ることがあります。
- 発症から24時間以内に症状が急激に進行し、呼吸困難、窒息をきたす劇症型が存在します。
- 治療は、抗生物質、ステロイドの強力な投与を行います。
- 症例により緊急気管切開が必要となることがあります。
声がかれる
咽頭がん・喉頭がん・喉頭炎・声帯結節・声帯ポリープ・ポリープ様声帯など
当院では、ハイビジョン・NBI対応の高精細内視鏡を使用して、病変部の精密な観察を行います。
また、喉頭ストロボスコープにて声帯振動をスローモーションで観察することで、声帯の粘膜波動・振動などを詳細に観察し、微小な病変の診断が可能です。喉頭がんで発症する声帯粘膜の硬化の診断にも威力を発揮します。
治療では、禁煙や声の安静、ステロイド吸入などを行っていきますが、改善しない場合やがんの疑いがある場合などは手術の適応になります。
電子内視鏡(NBI・ハイビジョン対応)
ハイビジョン、NBI(Narrow Band Imaging:表面血管を強調)対応の高画質内視鏡。
鼻腔・咽頭・喉頭などを詳細に観察し、表在がん、早期がんの発見に有用です。
喉頭ストロボスコープ
高速の点滅光(ストロボ)を利用し、声帯振動をスローモーションで観察する検査です。
声帯の粘膜波動・振動などを、色々な発声条件で観察します。
スローモーションで見ることで、声門閉鎖不全や声帯の不規則振動などを詳しく観察することができます。
のどの異常感
咽喉頭異常感症
のどのつかえた感じなどの異常感が持続する場合、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎など鼻疾患、胃酸が逆流する逆流性食道炎(食道炎を起こしていない、咽頭喉頭酸逆流症が多い)、甲状腺肥大など頚部病変による圧迫、不安神経症・うつ病などの精神疾患など、多彩な原因が考えられます。
咽頭がん・喉頭がんなどの初期症状の場合があり、喉頭ファイバー・頚部エコーなどでの精密検査が必要です。薬で治療しても症状が続く場合は、繰り返し検査をしたり、CT・MRIなどのさらなる精密検査が必要になることがあります。