アレルギー性鼻炎Allergic rhinitis
鼻粘膜のI型アレルギー性疾患で、くしゃみ、水様性鼻漏、鼻閉が3大症状です。
通年性アレルギー性鼻炎と季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)に分けられ、幅広い年齢層で発症します。
発症は若年化しており、10~30歳代がピークです。
アレルギー性鼻炎は、喘息の発症、増悪、遷延化の危険因子であることが知られており、早期からの診断と長期管理が求められます。
診断
- 鼻汁好酸球検査
- 血清特異的 IgE抗体検査:
アレルギーの原因(特異的IgE)を血液検査で調べます。
当院では、指先から1滴の血液を採取し、30分で検査結果がわかる「ドロップスクリーン」を導入しています。 - 内視鏡検査(ファイバー検査):
鼻腔ポリープの合併が疑われる場合 - レントゲン検査またはCT検査:
副鼻腔炎の合併が疑われる場合
最新のアレルギー検査「ドロップスクリーン」
当院では、 指先から1滴の血液を採取し、30分で検査結果がわかる「ドロップスクリーン」を導入しています。
- 食物アレルギーも含む41種類のアレルギーを30分で調べることができます。
- 痛みはごくわずかで、血液が採ることが難しい小さなお子さんでも可能です。
- 注射が苦手な方(注射針をみると気分が悪くなる方)、当日に結果を知りたい方、にもおすすめです。
- 吸入系その他19項目と食物系22項目の合計41項目を同時に調べることができます。
検査項目に
- ヒノキ花粉
- 特定原材料のソバ、ピーナッツ、エビ、カニ、卵、牛乳、小麦
- 口腔アレルギーの原因として多い、トマト、キウイ、モモ、バナナ、リンゴ
が含まれます。
費用(3割負担の場合)
4,740円 ※費用は検査のみのものです。
治療
症状の苦痛の程度、重症度等により治療法を選択していきます。
- 原因抗原の徹底的除去・回避
ダニ:清掃、除湿、防ダニフトンカバーなど
花粉:マスク、メガネなど室内ダニ抗原除去の実際
- 掃除機がけは、吸引部をゆっくりと動かし、1畳当たり30秒以上の時間をかけ、週に2回以上行う。
- 布張りのソファー、カーペット、畳はできるだけやめる。
- ベッドのマット、布団、枕にダニを通さないカバーをかける。
- 布団は週に2回以上干す。困難な時は室内干しや布団乾燥機で、布団の湿気を減らす。週に1回以上、掃除機をかける。
- 部屋の湿度を45%以下、室温を20~25℃に保つよう努力する。
- フローリングなどの埃のたちやすい場所は、拭き掃除の後に掃除機をかける。
- シーツ、布団カバーは週に1回以上洗濯する。
(鼻アレルギー診療ガイドライン2020)
スギ花粉の回避
- 花粉情報に注意する。
- 飛散の多い時の外出を控える。外出時にマスク、メガネを使う。
- 表面がけばだった毛織物などのコートの使用は避ける。
- 帰宅時、衣服や髪をよく払ってから入室する。洗顔、うがいをし、鼻をかむ。
- 飛散の多い時は窓、戸を閉めておく。換気時の窓は小さく開け、短時間にとどめる。
- 飛散の多い時の布団や洗濯物の外干しは避ける。
- 掃除を励行する。特に窓際を念入りに掃除する。
(鼻アレルギー診療ガイドライン2020)
ペット抗原の回避
- できれば飼育をやめる。
- 屋外で飼い、寝室に入れない。
- ペットとペットの飼育環境を清潔に保つ。
- 床のカーペットをやめ、フローリングにする。
- 通気をよくし、掃除を励行する。
- フローリングなどの埃のたちやすい場所は、拭き掃除をした後に掃除機をかける。
(鼻アレルギー診療ガイドライン2020)
- 薬物療法
抗ヒスタミン薬(第2世代)、抗ロイコトリエン薬、ステロイド点鼻薬など - 舌下免疫療法(ダニ・スギ)
現在、治癒または長期寛解を期待できる唯一の方法はアレルゲン免疫療法です。
喘息や新たな抗原感作に対する予防効果も報告されています。
舌下免疫療法について - 鼻粘膜レーザー治療(下甲介粘膜レーザー焼灼術)
下鼻甲介粘膜レーザー焼灼術
(鼻粘膜レーザー治療)について
花粉ー食物アレルギー症候群Pollen-food allergy syndrome ;PFAS
果物等を食べた直後に口やのどがかゆくなり腫れぼったくなる食物アレルギーの中に、花粉症から誘発されるものがあります。花粉抗原に含まれるタンパクと食物中のタンパクに共通した部分(共通抗原)がある際におこるアレルギーの一種です。
アレルギー反応が口腔内にとどまる場合が多いため口腔アレルギー症候群とも呼ばれています。
症状
食物摂取直後から始まる、口唇・口腔内・咽喉頭のかゆみや違和感・ピリピリ感など。
診断
- 詳細な病歴の確認
- 花粉症の有無の確認
- アレルギー検査(花粉や原因食品の特異的IgE抗体の測定)
治療・対応
- 基本は原因食品の除去
- 飲料の摂取や口をすすぐなどの方法で可及的速やかに粘膜表面から抗原を除去する
- 症状が持続する場合は抗ヒスタミン薬の服用
慢性鼻炎(非アレルギー性)Chronic rhinitis
遷延する慢性的な鼻炎には、アレルギー性鼻炎の他にも、様々な原因・機序があります。
- 職業性鼻炎
化学物質や汚染された空気によるもの - 妊娠性鼻炎
妊娠・出産などの内分泌系の変化によるもの - 味覚性鼻炎
辛い食べ物を摂取した際、鼻腺が刺激され水様性鼻漏をきたす - 加齢性鼻炎
持続する水様性鼻漏(くしゃみや鼻閉などの他の症状は伴わないことが特徴) - 血管運動性鼻炎
通年性アレルギー性鼻炎に類似した症状を呈するものの、アレルギー検査が陰性 - 薬剤性鼻炎
大部分が点鼻用血管収縮薬に起因点鼻用血管収縮薬は、頻回に使用すると血管収縮の効果が乏しくなっていきます。
さらに、長期に連用すると、最終的に鼻粘膜の肥大・肥厚が残存します。治療:
点鼻用血管収縮薬の中止。ステロイド点鼻薬の投与。